夫の体調が悪くなり検査検査の2020年1月。全身麻酔で生検をしないと最終診断は出ないが、「何らかの癌であることは間違いない」と夫は確信していて、彼なりに色々と考えたり調べたりしていた。不調は数か所あるから「どこの・何の癌か不明」「再発か別の新たな癌か」「リンパ腫かもしれない」など可能性に幅があって、夫はもちろん、私も不安でたまらなかった。
診断が出るまでにできることはないか、ということでファイトケミカルスープを飲むことにした。
最初の癌のときにそういうものがあるということはどこかで読んでいたけど、実践するとなるとどうすればいいか分からず…先ずは夫自身に調べて作ってみてもらった。お手本にならって、それからは私が作っている。
4種類の野菜を刻んで水から煮込む野菜スープ。それだけ聞くと簡単で良さそうね、となるけれど、実際は結構大変で贅沢なスープ。
食べるスープという感じで野菜の量が半端ない。おすすめの野菜はにんじん・玉ねぎ・キャベツ・かぼちゃを100gずつ。1回300g(大きめの汁椀になみなみ)、3食飲みたいと言われたときには、すぐに「いいね」とは言えなかった。
毎日欠かさずスープを作るのは正直無理。2日分はまとめて作りたい。にんじん1本、玉ねぎ1個、キャベツ4分の1個、かぼちゃ8分の1個を、用意して刻んで煮込んで、300gずつタッパーに分けて冷蔵庫へ、という工程をひたすら繰り返すのはなかなか大変。
先ず買い物がつらい。お金もかかるし、重い。
野菜を刻むのがつらい。腱鞘炎になりそう。チョッパーも使ってみているけど、洗い物が増えるので包丁で切る方が楽と感じてしまう。
野菜とできあがったスープの保存がつらい。始めた時期は寒かったから、冷蔵庫に入らない野菜は最悪廊下に置いても良かったが、ずっとそういうわけにはいかない。こどももいるので冷蔵庫には牛乳・卵・パン・カルピスやらゼリーやらも常に入っていて余裕はない。仕方なく冷蔵庫を買い足した。一人暮らし用くらいの新冷蔵庫はほぼ夫の食事療法用になっていて、部屋は狭くなったけど、野菜やスープを傷ませたくないという問題は解決し少し心に余裕ができた。時間がないときにとりあえず鍋ごと一旦しまえるのは助かる。
野菜の甘みが強く出るおいしいスープなのだけど、息子の口には合わないようで、何度出しても飲まない。どうせ作るなら家族で食べられたら楽なのだけど、別にお味噌汁なども作っていてそれも手間。
我が家は煮干しをいくつか入れて出汁にしていて、塩は入れずに煮て、飲むときに好きなようにアレンジするようにしている。夫はカレー粉やスパイスを入れたり、シンプルに塩だけで飲んだり飽きないように工夫している。私は中華スープの素などで味付けをして、普通のスープのように時々飲んでいる。
手間、つらい、大変…とここぞとばかり愚痴ったが、美味しくて飲みやすくて確実に栄養がとれて、病気療養中の夫には必要なスープという実感はある。一応夫の前ではここまでの文句は言わずに作り続けている。
買い物や食費の大変さは明らかなので、夫も自ら帰り道にスーパーに寄って買ってきたりして二人でなんとか協力してやっている。
最初の癌治療のとき、抗癌剤の副作用で味覚がなくなってしばらく食べるのに苦労した夫。昨年夏の顎の手術前後は硬いもの・大きいものNG。ピンチのたびにサラダやスムージーを習慣化したり、具材の大きさを変えたり、お弁当を導入したりなんとか対応してきた。毎回慣れるまでは憂鬱。それでも投げ出さずにやってきたから、今回の野菜スープもそのうち慣れるかな。
何事も訓練訓練。飲んでいるうちに私も健康体になるかもしれないし、腱鞘炎も治るかもしれないしね。